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F1を去るホンダ。その先にあるのは

コラム (2020/10/17)

ホンダが2021年シーズンを最後に、F1の舞台から姿を消す。かつてエンジンはもとより、自社製シャシーで参戦する「フルワークス」チームとして参戦した経験を持つが、その後はエンジンサプライヤーとして3度にわたり、F1へ挑戦を挑み続けてきた。日本でF1といえば、ホンダというイメージが先行するような歴史を築いてきた同社だが、2021年以降の再挑戦の可能性はないという。完全撤退を決めたホンダ。これから同社が目指すものとは。

・撤退のニュースは突然に
10月2日、TVニュースや新聞を賑わしたもの。それはアメリカ大統領のドナルド・トランプ氏が新型コロナウイルスの検査で陽性になったことを知らせるニュースだった。11月に迎える大統領選挙戦真っ只中の出来事とあり、選挙活動への影響を懸念する声が集まった。一方で、自動車関係の報道陣には同日の夕方、ホンダの八郷隆弘社長がオンラインによる記者会見を行っていた。それは、来シーズンを持ってF1におけるパワーユニット(PU)サプライヤーとしての参戦終了を告げるものだった。また、会見を追うように同社のウェブサイトには報道関係者向けのプレスリリースを掲載した。

リリースにある「モータースポーツ活動はHondaのDNAであり、これからも熱い想いを持って、参戦しているカテゴリーでのNo.1を目指し、チャレンジを続けていきます。」という一文には、2021年シーズン終了まで全力を尽くして戦う思いが込められているのは間違いない。なにしろホンダにおけるF1での歩みは1964年と古い。日本国内ではまだモータースポーツがごく限られたファンの楽しみであり、どこか遠い世界で行われている競技に、ホンダが単身乗り込んで行くような、そんな力強さが感じ取れた時代でもあった。まだまだ”よそ者”的な存在だった彼らだったが、早くもフル参戦を果たした2年目の最終戦メキシコGPにて初優勝を達成。1968年に参戦を休止する間、同社はオートバイメーカーからF1に挑戦し、優勝する自動車メーカーへと躍進したとも言えるだろう。

2度目の参戦は1983年。このときはコンストラクターにエンジンを供給する”エンジンサプライヤー”としての復帰だった。1987年にはロータスへも供給を開始し、中嶋悟が日本人として初めてフル参戦ドライバーとしてデビュー。その後、5年に渡りホンダエンジンで戦いを続けた。また、ウィリアムズ・ホンダから参戦していたネルソン・ピケがドライバーズタイトルを獲得すると、1988年にはマクラーレン・ホンダでアイルトン・セナがチャンピオンに。これを機に、マクラーレン・ホンダではセナとアラン・プロストの2大スターを擁して最強時代へと突入したことで、日本でのF1ブームが到来したことを覚えている方々も多いのではないだろうか。結果として、ホンダエンジンはコンストラクターへ6年連続、ドライバーには5年連続でチャンピオンをもたらすという大躍進を遂げ、日本でのモータースポーツにおけるイメージ向上に一役買ったことも忘れてはならない。

1992年、ホンダとしての第2期F1活動が終了したが、2000年には第3期としての復帰を果たす。2004年にはBARホンダを駆って佐藤琢磨がアメリカGPで3位表彰台を獲得。さらに2006年には第1期同様、フルコンストラクターとして再びワークス参戦を開始する底力を見せた。同年、オールホンダとして39年ぶりに果たした勝利は2018、19年にSUPER GTでも活躍したジェンソン・バトンの手によるものだった。だが、その後は低迷が続き、さらに2008年、いわゆる”リーマンショック”の影響から、この年をもって撤退。膨大なチーム維持費の懸念しての決断だったと言われている。

様々な時代の流れに左右されつつ、幾度もF1への参戦を続けてきたホンダ。2015年には再びエンジンサプライヤーとしての復帰を実現させ、2019年には第4期として復帰後初優勝を実現。また、今年9月上旬には、イタリアGPでスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーが自身初優勝を果たし、チームにもシーズン初勝利をもたらした。だが、そのおよそ1ヶ月後に発表されたF1からの撤退。2021年をもって第4期の挑戦は終了するが、八郷社長はオンライン会見で「再参戦は考えていない」と断言している。

・新たなターゲットは「カーボンニュートラル」
八郷社長は会見で、今年で6年目のシーズンを迎える第4期F1参戦に触れ「参戦当初は性能や信頼性で苦戦し、厳しい戦いが続きましたが、航空機エンジンの技術を生かした性能向上や、量産技術を活用したエンジンの燃焼効率向上など、All Hondaの総合力を発揮することで競争力を大幅に高めることができました」とコメント。そして、F1で優勝という目標を達成した今こそ、「その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化『カーボンニュートラル実現』という新しいフィールドでの革新に注ぐ」と断言。「これはF1同様に大変難しいチャレンジであり、社会とともに取り組んでいくべき大きなチャレンジとなる」とした。

2050年のカーボンニュートラル実現が、同社における新たな挑戦だという八郷社長の決意表明。シビアになる環境対応に軸足を起くという決断ではあるが、撤退の英断はそれだけが理由なのだろうか。”100年に一度”の大転換期を迎えたと言われる自動車業界。「カーボンニュートラル」とは二酸化炭素の排出を実質的にゼロにする取り組みである。ガソリンエンジンから電動化へと舵を切る自動車業界において、今、モータースポーツの立ち位置はものすごく不安定だと言っても過言ではないと思うだけに、ホンダもまた時代の変化に合わせた計画を練り直すことを求められたのではないだろうか。

加えて今年、世界中を不安に陥れた新型コロナウイルスが拍車をかけたという事実も否めない。自動車業界に限らず、あらゆる商業において業績が悪化する中、エンジン技術の開発を兼ねたF1参戦への莫大な開発資金や関わる人材を、これからは次世代技術へと振り向けていく必要性があるという英断だったと考えられる。

この先20年ほどの間に、中国はじめヨーロッパを中心にガソリン車、ディーゼル車の新車販売が禁止されていく方向にある今、自動車メーカー、ホンダとしての”あるべき姿”を追求した結果が、今回のF1からの撤退という回答だったのではないだろうか。ファンが作り上げた”モータースポーツあってのホンダ”というイメージを押し付けるべきではないのだろう。



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