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業界の転換期。加速するEVへのシフト

コラム (2017/09/17)

フランスやイギリスの政府機関が2040年をメドに、ディーゼル車やガソリン車の新車販売を禁止する方針を打ち出したことは以前このコラムでも記したが、この動きに合わせたかのように、世界中の自動車メーカーが電気自動車(EV)へのシフトを加速させている。全面的にEV製造に転換するメーカー、あるいは段階を踏んで製造車両の比率を変更するメーカーもあるが、一方で日本国内における消費者の動きは、正直まだ“対岸の火事”のような反応に留まっているようにも感じる。そして、車離れが進む日本での販売に頼るわけにはいかない日本のメーカーは、この先どんな動きを見せていくのだろうか。

・英仏に続き、ついに中国も
今月に入り、中国では国の工業・情報化省のコメントを同国の自動車業界紙が紹介。「伝統的なガソリン車の生産販売をやめるスケジュールを作っている国もある。工業・情報化省も研究を始めており、我が国のスケジュールを作ることになる」と、関係者が述べたと伝えている。具体的な時期は記されていないものの現状からのシフトを強く意識していることは明確であり、これが現実問題として始動すれば、年間2800万台、世界の総生産台数3分の1にあたる世界最大の販売市場だけに、ガソリ車生産販売禁止の影響は計り知れないものがあることには間違いない。

もっとも、この巨大市場を意識しているのは車両を売り込む海外メーカーではなく、中国の国家そのもの。というのは、車両の生産販売において後発の立場である同国にとって、EVを推進し、自国の自動車産業を振興することこそ高いエンジン技術を誇る欧米や日本の自動車メーカーへの対抗策であるからだ。加えて、今の中国を悩ます大気汚染への対策にも繋がるため、中国政府によるEV普及の推進が、「EVシフト」をいっそう加速させるのは言うまでもない。

現在、中国国内におけるEV認知度は決して高いとは言えず、一般消費者への普及はほとんどない。国としては、EVおよびPHVの車両購入者に対して補助金を支給するなど策を講じていることから、昨年は販売台数が50万台を超えたというが、その市場を考えるとまだわずかに留まっている。これを考慮し、政府もEVなどのエコカーを一定以上販売することを求める規則を導入している。かつてはスェーデンの自動車製造販売メーカーであったボルボは、現在、中国企業の傘下にあるが、そのボルボは今年7月に「2019年以降の新型車をすべてEVやハイブリッド車などの電動車にする」と発表していることも、中国市場を見据えてのアナウンスだったと考えてもいいだろう。実際、ボルボの親会社・浙江吉利控股集団傘下にある吉利汽車では、2025年までにEVを100万台販売することを目指しているという。


・日本国内の自動車市場はどこへ向かうのか
一方、日本の自動車メーカーは国内と海外市場での温度差を強く感じていると思われる。事実、日本政府が「脱エンジン」の方針を打ち立てているわけでもなく、EVへのシフトについてはっきりと言及していることもない。だが、世界の各国政府がアナウンスする実情はきちんと踏まえているわけで、長らく日本が世界に誇ってきた基幹産業としての自動車をやすやすと諸外国の新興産業に手放すわけにもいかない。確かに完成したEVそのものとしては、やや後手に回った感があるかもしれない。だがその一方で、電池の部材、車両本体に用いる新素材、搭載する電子部品といった目に見えにくい部分の産業、つまり、これまでも自動車産業において下支えをしてきた幅広い産業においては、EV車でも活躍できる場が存分に残されている。それこそが、EV化における産業のシフトであるととらえたい。

もちろん、本家ともいえる存在の自動車メーカーも手ぐすね引いて待っているだけではない。日産、三菱自動車とフランス・ルノーなどで構成されるルノー・日産連合では、このほどEV開発と生産体制の強化を中核とし、2022年までに12車種を同連合内で投入することを明言。航続可能距離で600km達成を目標にするとしている。厳しい生き残りのため、連合では複数のセグメントに対応する新EVのプラットフォームで70%、また電池やモーターなどの基幹部品においては100%の共通化を図るとしている。一方、ヨーロッパではいち早くEVでの市場拡大を声高にするドイツ・フォルクスワーゲン社がEVへの大胆シフトを方針として打ち出した。かつて日産は、トヨタがプリウスで大成功を収めた頃、トヨタ同様のハイブリッド車に追随するのではなく、違ったことをやろうという視点でEVへの取り組みを強化した経緯がある。今となっては世界中で環境規制が強化され、先行してEVを開発、製造してきた日産に世の中がついに追いつこうとしているのだ。

もちろん、2010年に初となる量産型EV「リーフ」を投入しているが、7年間の累計販売台数は28万台に留まり、まだまだ苦戦中。「短い航続距離」、「充電インフラの未整備」、「高い車両価格」という3つのカベが邪魔をしていると言われている。しかし、世界から吹き始めた風が日本へと届くのもそう遠くはない話。スバルやホンダがディーゼルエンジンの開発から撤退、あるいは縮小する方向にある現在、ようやく日産にとっての追い風が吹くのではないだろうか。あとは需要の流れをどう読み取るか。世界だけに目を向けてばかりいると、メーカーのお膝元である日本でそっぽを向かれ兼ねない。両刃の剣とも言える状況の中、今後、メーカーがどのような舵取りをしていくのか。日本の自動車業界は今まさしく変革の真っ只中にいることだけは確かだ。



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