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コラム
(2026/05/29)中国資本のEVメーカーが日本の自動車市場において新たな販売路線を設けることになった。とはいえ、メーカーが独自に日本支社を設立するわけでなく、日中のメーカーや量販店等関連企業が連携する形でビジネスがスタートするという。一体どういうものなのか?
・中国、日本の5社がブランドを立ち上げ
日本向けの新たな自動車ブランドが立ち上がった。その名は「EMTA」。エムタと読む。運営するのは、中国の大手自動車メーカーとして知られる奇瑞汽車(チェリー)、日本のクルマ用品大手であるオートバックスセブン、さらい空気圧縮機メーカーでSUPER GTにも参戦するアネスト岩田、さらに中国のバッテリー企業の国軒高科や製造グループの江蘇悦達の5社。出資率としては、チェリーと江蘇悦達の2社が27.27%、オートバックスおよび国軒高科が18.18%、9.09%をアネスト岩田が持つという。共同で設立した会社「EMT」は横浜にあるが、EMTAの拠点はシンガポールに置く。日本のメーカー以外で軽EVを日本市場に送り込む予定をしているのはBYDだが、その販売は今年7月末。あと2か月ほどで日本の軽自動車市場にどのような旋風が巻き起こるのかも気になるが、BYDの上陸が弾みとなり、EMTAにも追い風が吹くやもしれない。
EMTAブランドとして展開予定の市販車だが、その第一弾は2027年にお披露目されるという。日本の軽自動車規格に沿って開発する。現在、日本における軽自動車は国内新車販売の3分の1超。公共交通機関が脆弱な地方ともなれば、一家に一台、ではなく一家に数台の軽自動車が駐車場に陣取ることも決して珍しくない。たとえば、EVのウィークポイントと言われる航続距離だが、身近な場所での使用を考えた場合、1回の充電で走れる距離をカバーできれば高騰するガソリンも不要であり、その利用価値は高まると思われる。EMTとしては、日本で商品企画を行ない、その設計をチェリーに委託。製造はチェリーと異なる中国本土の江蘇悦達の工場で生産する予定だという。実のところ、チェリーでは、中国市場向けの小型モデルがあり、製造にあたってはそのコンポーネントを一部流用するのではないかとも言われる。
・最新技術を盛り込んだ軽EVに
このほど日本で行なわれた発表会において、製造する軽EVには車種に応じて最新技術を取り入れることが明らかにされた。スマホを操作するように、クルマの機能を無線でアップデートすることが可能という。また、オーナーは自身のスマホと同期することでシートポジションやエアコン温度の自動切り替えなど、”かゆいところに手が届く”サービスを提供する。また、今後は自動運転を支援する機能も用意していると言い、軽EVとは思えないほどの手厚いサービスを展開したいとしている。
同社では、2027年の第1弾を筆頭に、2029年までに4車種を発売する計画とのこと。販売面を一手に担うのが、オートバックスセブン。一部店舗を拠点として活用する方向であり、現在協議を進めていることが明らかになった。一方、アネスト岩田が品質管理を担当するとしている。オートバックスとしては、車両メンテナンスを請け負うことで安定した顧客の確保に繋がることになるだろう。まず、軽EVを手掛け、その先は小型ハッチバック、小型クロスオーバー、さらにはミニバンの車種をリリースする計画があるといい、バラエティ豊かな車種をリリースすることになれば、日本の大手自動車メーカーとしては競合することは必至であり、手強い競争相手になる可能性が出てきそうだ。
EMTはさまざまな自動車関連会社が協業する形で誕生した会社であるため、今後の事業展開についてはまだまだ未知数な点があることも否めない。しかしながら、先述のようにBYDによる初の軽EVの投入を起点に、日本の軽自動車市場に何かしら新たな動きが見られることは間違いない。現在、日本の軽EVメーカーは日産と三菱、ホンダさらには今年度内に発売を予定しているスズキが参入しており、過熱することは目に見えているが、日本メーカーの車両は政府や自治体の補助金を活用することを前提とした価格設定となっている。しかしながら、EMTでは「ガソリン車の軽自動車と比較できる価格をめざす」としており、仮に価格破壊に一石を投じることになれば”ガラパゴス化”している軽自動車市場に大きな風穴が開くことになる。
今夏に投入が始まるBYD「ラッコ」、そしてEMTの新ブランド車の”誕生”が待たれる。