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ホンダ、EV開発中止の影響で純損益が上場以来初の赤字に

コラム

(2026/05/24)

今月中旬、ホンダが2026年3月期決算を発表した。これによると、最終的な儲けを示す純損益において、同社が1957年に上場して以来初めてとなる赤字に陥ったという。ソニーとの協業の頓挫、EV販売の鈍化のなか、ホンダはどこに向かうのか。

・協業の夢、破れ
ホンダとソニーがそれぞれの強みを活かし、新たなEVを製造する__それは、間違いなく”新たなクルマ”として夢のあるものになるはずだった。三部敏宏氏が社長就任時の会見で、エンジン搭載車の製造を止めると宣言したのが、2021年の4月。日本の自動車メーカーで真っ先にエンジンと決別宣言した同社は、2040年までにEV(電気自動車)とFCV(水素燃料電池車)の販売比率を全世界で100%にすると宣言したのだ。

ところが、2025年5月には電動化戦略を軌道修正を強いられ、EV推進力が弱まる。当て込んでいた中国でのEV車は、中国国内でメーカーが誕生したことが向かい風となり、思うように売れていない。先進技術と価格の両面において、中国勢にかなわなくなっているのが現状でもある。また欧米でもEVの推進力が今ひとつ伸び悩んでいる。いずれも自動車製造を基幹産業とする各国がEVに特化する中国の台頭を警戒した部分もあるが、いずれにせよ、まだまだ世界中でEVが主流となっている国は依然として少ないことも事実として受け止めなくてはならない。

そんななか、ホンダは異業種とのコラボに意欲を燃やし、ソニーとの協業によるEVを目指した。「アフィーラ」という自動車ブランドを展開するという新たなスタイルで日本におけるEV市場を開拓しようと意気込んだ。いまだ、アフィーラのウェブサイトが残っているが、その一方で、ホンダのウェブサイトでは「ソニー・ホンダモビリティの事業方針の見直しについて」というリリースが掲載されており、「AFEELA 1」および第2弾モデルの開発と発売中止を発表している。もっとも、発売中止に留まらず、両社による協業自体が消滅。市場投入することが非現実的であるということで、夢が潰えたことになってしまったのは、残念でもある。

・EVそのものが苦戦
ホンダのこの先の戦略の中軸となるはずだったEV。もともと創意工夫を重ねたエンジンがお家芸であった同社が、”脱エンジン”を打ち出したときは大きな衝撃であったが、同社はEVにシフトする流れをいち早く受け止め、それを具現化することを選んだ。しかしながら、世の中におけるEV普及は遅々として進んでいない。とりわけ日本はインフラ設備がほとんど進んでおらず、結果として積極的なEVへの乗り換えも見受けられない。加えて、欧米の自動車メーカーも一旦掲げたEV化への戦略の見直しをし始めた。なかでもアメリカはEV政策をトランプ政権が大きく転換し、税額控除の打ち切りに着手。世界中で潮目が変わった言わざるを得ない。

こうなると、ホンダも戦略見直しを強いられ、販売台数の下方修正を検討することにならざると得なくなってしまった。事実、北米でのEV需要の鈍化を受け、EV3車種の開発中止が決まっているという。これに伴い、工場設備の資産価値の見直しはじめ、部品等の取引先への補償費用がかさむこととなった。これが上場後発の赤字の内容だ。

思い起こせば、ソニーの協業消滅だけでなく、日産自動車との経営統合の協議も頓挫し、結局は破断となったことも記憶に新しい。だが、同社では、2027年3月期の業績は純損益を2600億円の黒字と予想している。好調なバイク事業で過去最大の販売台数を狙うのだという。自動車持病でもEVではなく、ハイブリッド車の販売に注力し、黒字確保を目指すとしている。2040年までに新車をEVとFCVにする”脱エンジン”目標はすでに取り下げられているが、この先、ホンダではどのような形で”脱エンジン”に近づいていくのか。動向が気になる。

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