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モータースポーツ情報
(2026/03/30)いよいよ今週末に国内最高峰であるフォーミュラレース、全日本スーパーフォーミュラ選手権が開幕する。すでに3月中旬にはスーパー耐久やジュニアフォーミュラのレースがスタートしており、レース好きのファンも十分に”暖機”が終わっている状態だと言えるだろう。果たして、国内レースの人気を分ける3カテゴリーの2026年シーズンはどんな1年になるのだろうか?
●スーパー耐久シリーズ
まっさきに国内レースとして実施されたのが、S耐こと「スーパー耐久シリーズ2026」。開幕戦の舞台は、栃木・モビリティリゾートもてぎだった。全6サーキットで7大会が実施されるが、これに加え、年々参加を希望するチームの増加を受け、S耐への参戦を目指すチームやドライバーの受け皿として「S耐チャレンジ」という名のレースを開催。もてぎでも60分間の耐久ロードレースが行なわれた。もともと参加型のレースであるS耐ゆえ、参加チーム、ドライバーの裾野拡大を狙いとするが、ハードルが高くなってきたレースに対し、初心者が気軽に参加できるようにと新たな門戸を開いている。昨シーズンから始まった取り組みだが、今シーズンは有償のレンタル車両も用意するなど手厚いサポートにも取り組む。開幕のもてぎのほか、7月のSUGO、11月の富士でもS耐との併催として開催を予定している。
S耐の魅力はなんといっても”参加型”の大会であること。プロのパフォーマンスを堪能するというよりは、走ることをみんなで楽しみ、それを見守るという感じか。一方で、フォーミュラやSUPER GTに比べて圧倒的に多いのは、参加台数。市販量産車をベースに、およそ70台強の車両が時間レースを繰り広げる。GT3規格車両を用いるST-Xは事実上のトップクラスとして君臨。今年もプロドライバーの参戦が見られるが、ジェントルマンドライバーとのコンビによる予選など、さまざまな面でルールの均等化に取り組む。今シーズンは昨年終盤から導入されたST-USA車両の参戦もあり、11クラスに区分されて戦う。このため、全7戦にすべてのクラスが参戦することは困難で、クラスによっては”お休み”のレースが存在する。また、時間レースもレース1、2にクラスを区分し、コース上の大混雑を避けるような形で展開することが定番となりつつある。プロとアマチュアドライバーの”共演”はもとより、2018年から続く国内唯一の24時間レース開催中は様々なイベント盛りだくさんで、お祭りモードたっぷり。その一方で、最先端技術を投入するST-Qクラスでは自動車メーカーが文字通り”走る実験室”状態でレースに挑む。長時間にわたる戦いから、安全安心、そして最新のテクノロジーへと繋がるクルマ作りを目指すメーカーにとっても、欠かせない”戦場”になっているといえるだろう。
クルマの未来を踏まえ、いい意味での”なんでもあり”を積極的に取り入れるレース、それがS耐といえるだろう。
●全日本スーパーフォーミュラ
昨シーズンは開幕前の公式テストで雪化粧となり、またシーズンが始まっても悪天による影響で開催スケジュールの変更を強いられるなど不確定要素が目立ったスーパーフォーミュラ。だが、そのスケジュール変更によってドライバーの勢力図に変化が現れ、最後の最後に逆転によるシリーズチャンピオンが誕生するというドラマチックな展開に、ファンは一喜一憂する盛り上がりを見せた。今シーズン開幕を前に、WRC(世界ラリー選手権)で史上最年少王者となったフィンランド人のカッレ・ロバンペラが参戦! とファンを喜ばせた。しかし、残念ながら昨年12月の公式テストで良性発作性頭位めまい症を発症。その後、医療機関での診察を受けて本人の健康状態を最優先した結果、参戦休止に。健康上の理由だけに本人が一番悔しいだろうが、ファンもまた改めての挑戦に期待を寄せているに違いない。
群雄割拠の戦いを見せる昨今のスーパーフォーミュラ。逆転タイトルで王者となった岩佐歩夢は今もなおF1挑戦の夢を諦めてはいない。その岩佐に対抗するのは、太田格之進や牧野任祐といった海外レース経験者はじめ、野尻智紀や坪井翔などのタイトルホルダーたちだ。さらに、チーム移籍した山下健太の覚醒、昨年ルーキーにして勝利したイゴール・オオムラ・フラガの成長など、注目のポイントも多い。なお、今年のルーキーは4人。うち外国人が3人で日本人は野村勇斗がデビューを果たす。
1イベントで2レース開催というフォーマットは今年も継続されるが、新たに1イベント1レース開催となる第3戦オートポリスと第8戦SUGOでは、ノックアウト予選を3段階に分けて実施することが明らかになっている。この際、ポールポジション獲得者には、ボーナスポイントならぬ100万円の贈呈があるとのこと。文字通りのボーナスにドライバーもより奮闘してくれるに違いない。一方、決勝レースでは、2レース制の際に差別化を行なっていたピットウィンドを統一。どちらのレースでもレース距離のおよそ25%にあたる周回数以降のピットインを義務付けする。これにより、予選で後方に沈んだドライバーが戦略のひとつとして実施することが多く見られた1周目終了時のピットインは見られなくなる。また、脱温暖化の一貫でE10燃料を使用することも発表された。迫力あるエキゾーストサウンドを奏でることに違いはないが、地球にやさしい燃料を用いて今まで以上にアツいバトルを繰り広げてくれることだろう。全16チーム、24名による躍動のシーズンとなりそうだ。
●SUPER GT
今年のオフシーズンは、岡山テストの翌週に富士でのテストを実施したSUPER GT。話題としては、ホンダ陣営が2シーズン戦ったシビック・タイプR-GTに代わり、プレリュードGTを投入したことか。4ドア車両による開発、進化に挑むも、厳しい結果を強いられてきた印象が強いだけに、是が非でも新たな戦闘マシンとなるプレリュードGTでの再起を目指しているのは明らか。前人未到のシリーズ3連覇を果たしたNo.36 au TOM'S GR Supraの牙城を崩すべく、各チームドライバーも新たなシーズンに懸ける思いも相当だと思われる。2台体制を敷くARTAではドライバーのシャフルに加えてアメリカでレース経験を積んできた太田格之進が新加入。また、HRCがARTAの1台にガッツリ関わることで、さらなるポテンシャルアップを目指している。なお、HRCによる関与は各チームにも及ぶといい、データ共有によるボトムアップにも期待を寄せる。
一方のニッサン陣営も黙ってはいない。今年のシーズンオフは空力開発が解禁され、どのクルマもさまざまなトライ&エラーからクルマ作りに取り組んでいる。テストを重ね、データを精査し、より一層の速さと強さを引き出そうと懸命だ。なかでもニッサンZニスモGT500は、長年GT500クラスで戦い、チャンピオンを手にしてきた松田次生氏が昨シーズンいっぱいで勇退、今年からニッサンのワークスチームで監督を担当する。厳しい戦いのなか、研鑽してきたドライバーとしての英知を最大限引き出した采配も気になる。空力面の開発で手応えを得ているのがニッサンだという声も聞こえており、開幕戦から果敢な攻めのレースを披露してくれる可能性も高そうだ。また、SUPER GT参戦以来、一貫してヨコハマタイヤを装着してきNo.24 リアライズコーポレーション Zが新たにブリヂストンタイヤを装着することも話題となった。実のところ、ニッサン勢は昨年から1台少ない3台での参戦のため、全車がBSユーザーであることが望ましいという考えからすると、総合力向上に繋がるといえるだろう。
ちなみに、マルチメイクタイヤによるコンペティションレースも今シーズンが最後。2027年からはGT500、300両クラスがワンメイク下での戦いにスイッチされる。それゆえ、ヨコハマ、ダンロップユーザーが各1台参戦しているGT500クラスでは、有終の美を飾るべく孤軍奮闘のシーズンになりそうだ。
今シーズンから導入される新たなレギュレーションも気になるところ。GT500クラスで一番大きな変更といえば、やはり使用する年間エンジンが1基となったところだろう。昨年まで2基だったがついに今シーズンは1基に。タフなシーズンをいかに凌ぎ、無事に最後まで戦い抜くことこそが、チャンピン獲得の早道になるのか。各陣営のマネージメント力も問われることになる。また、昨シーズンからGT300クラスに採用されたサクセス給油リストリクターをGT500クラスにも導入されることになった。サクセスウェイトの搭載にあわせ、燃料流量リストリクターを3段階で下げていたが、今シーズンからはサクセスウィト適用後の車載ウェイトを一律50kg、燃料リストリクターも1段階小さくするに留め、その代わりにサクセス給油リストリクターを導入し、結果的にピット作業の時間を延長する形を採ることになった。これにより、戦略の見直しは必至といえよう。
この他、細かなレギュレーション変更等も盛り込まれているが、戦略による”知恵の見せどころ”とドライバーのテクニックの融合によって
際立つSUPER GTの魅力は今年も健在だ。
●その他世界選手権など
終わったばかりF1の日本GP。桜もレース開催にあわせて咲きほこり、海外からのゲストも堪能できたはず。今年は残念ながら日本人レギュラードライバーの参戦はないが、ホンダがパワーユニットをアストンマーチンに供給し、”復帰”を果たした形となっている。まだまだ発展途上な感じではるが、鈴鹿の戦いで初完走を達成。これからの巻き返しにも注目が集まる。鈴鹿には、3日間でおよそ31万5千人ものファンが来場したという。20ねんぶりに30万人を突破する人気に、改めてF1の底力を見た。レースは、このあと第4戦バーレーン、第5戦サウジアラビアが予定されていたが、中東情勢が極めて不安定なことからイベントは中止となっているが、5月にはアメリカ・マイアミでの戦いを控え、ますますヒートアップしそうだ。
日本での世界選手権は、F1のほかにWRC(世界ラリー選手権)やフォーミュラE、さらにWEC(世界耐久選手権)が開催予定となっている。WRCは晩秋から5月末へ、またフォーミュラEは4月から7月末とカレンダーが大きく変わったが、異なる季節のなかでこれまでとは異なる”風景”が見られそうだ。
ハイシーズンには毎週のようにレースが実施されている日本のサーキット。気になるカテゴリーがあれば、ぜひとも一度現場に足を運んでみては!?