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コラム
(2025/12/20)このほど政府・与党が打ち出したEV重量税。中国はじめ、他国よりもまだガソリン車やハイブリッド車が主力である日本だが、このほど課税強化に舵を切るという。温暖化を見据え、中長期的にEVへの購入拡大を誘導するための補助金制度を設ける一方、なぜEV専用の税金を新たに導入しようと考えたのか。
・エンジン車はガソリン税を負担
現在、エンジンを搭載する車両にはガソリン税が課されている。一方、EVはエンジンを搭載せず、電気で走行するためガソリンは不要。当然ながらガソリン税は発生しない。ガソリン税とは、ガソリンに課される揮発油税および地方揮発油税の総称。その税率は、揮発油税が1リットルあたり24.3円、そして地方揮発油税は同1リットルあたり4.4円となっている。もともとのガソリン税は28.7円だったが、そこに別途加算されているのが、暫定税率だった。これは、1974年のオイルショックに起因する。これを機に導入された増税措置であるが、急激な燃料価格の高騰に対処する一方、徴収した税金は道路整備財源を確保するため、という理由で特定財源という名目で導入されていた。当初は「暫定」という形で導入されたものの、そのままずるずると50年もの長い間税金として徴収が続き、1979年までに現在の25.1円が暫定税率として存在していた。つまり、もともとの揮発油税および地方揮発油税と合算し、53.8円が徴収されていたというわけだ。大まかに言えば、ガソリン1リットルにつき、おおよそその4割が税金だったことになる。それがようやく暫定税率が廃止の運びとなり、年内に実施される。
暫定税率廃止は、エンジン車やハイブリッド車を所有するユーザーにとってメリットとなる。しかし、長きにわたり日本国が徴収してきた税収が大幅に削減されるというデメリットが待ち構える。財源不足として予想されるのは、年間でいえばガソリン税のみで1兆円、税率や種類が異なる軽油引取税も含めるとさらに5千億増えて1兆5千億とも言われている。長年、野党からの厳しい要求をかわして廃止を引き伸ばしてきたことを考えれば、”次の策”を講じていかなければ、財源不足分が補填できなくなるのは、明らかだろう。
・EVへの重量税に鞍替え!?
ガソリンを使用しないEVには無縁だったガソリン税。それに代替する税金として課税を検討するにあたり、目をつけたのが”車重”だった。先述のとおり、ガソリン税として徴収した税金は、道路維持費等の財源として補填されてきた。同じ道路を使うEVがその分を負担しないのはおかしい、という理由から税の公平性を担保するために発案されたのが、EVの重量税ということになる。
つい最近、経済産業省がEVやFCV(燃料電池車)など、環境に配慮した自動車への補助金上限額の見直しを発表しているが、これによると、EVは40万円増額して最大130万円、一方、FCVは105万円減額の最大150万円に。さらに、PHEV(プラグインハイブリッド)は25万円増額の最大85万円、そして軽自動車のEVは変更なく現行の58万円に。この結果について、同省は「車種間の公平性を高めた結果」としている。FCVを除き、購入時の補助金の増額は非ガソリン車購入予定者としてはうれしいニュースだが、その一方で課税を検討そして導入へと動き始めたのが、EV車における重量税だ。
実のところ、エンジン搭載車よりEVは重い傾向にあるとし、結果的に道路への負荷が高くなり傷めやすいとされる。これからのインフラの意地そして整備を考慮し、相応の負担をEVユーザーに求めるべきだという考えに至ったというわけだ。車重によって段階的に税額を決めるため、トラックやバスなどは当然税額が大きくなる。12月上旬に発表された財務省の発案では、2トン以下のEVで年6500円、2.5トン未満では1万9900円、2.5トン以上は2万4千円、そして軽自動車は一律3600円というものだった。また、徴収は2年に一度実施する車検に併せて行なうために、2年分をまとめて支払う形になる。参考までにテスラの「モデルX」であれば、本来の税額2万5千円に1万9900円の2年分となる3万9800円が上乗せされるというわけだ。
・検討から導入まで一気に
今回、検討が始まってから導入決定まで時間をかけることなく、政府では2028年からの課税強化の方針を早くも決めてしまった。税額は来年以降にあらためて決めるというが、「EV重量税」として導入されるタイミングは2028年5月ということもアナウンスされている。
日本国内ではなかなか思うように導入が進まないEVだが、新たな税負担が決定すると、好んでEV購入を選択するユーザーがどこまでいるのか。インフラが整ったとは言い難いEVの販路拡大には、まだまだ至難が多そうだ。