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ガソリン税、年内に減税決定

コラム

(2025/11/17)

このコラムでも再三にわたって記してきたガソリン税。長く国会で撤廃案が検討されてきたが、高市政権へと変わり与党との討論が加速。ついに旧暫定税率を年内に廃止することで合意した。野党による強い”押し”が結実した形だが、その後の流れはいったいどうなるのか?

・年度末ではなく年内に廃止へ
10月末、与野党6党においてガソリンの旧暫定税率を年内に廃止する報告で大筋合意がなされた。この旧暫定税率は、1リットルあたりおよそ25円がガソリン価格に上乗せされているものだ。”ガソリン”と表記しているが、軽油もおよそ17円が上乗せされている。ただし、灯油は該当しないのでお間違えのないように。

大筋合意の時点で明らかになったのは。廃止に向けて、ガソリンへの補助金を11月13日から段階的に増やし、旧暫定税率と同額まで価格を下げた上で年末に終了できるよう動くとしている。実際、13日からは、各石油元売り業者に向け、「つなぎ補助金」として1リットルあたり15円の支給が始まっている。合意前は1リットルあたり10円下がるように出ていた補助金だったが、13日からの15円以降、27日には20円、そして12月11日には旧暫定税率と同額となる25.1円に増やすとしている。13日の補助金が始まったタイミングで、「あわててガソリンスタンドへ行かないように」と呼びかける新聞広告を見たユーザーも多いのではないだろうか。物価高の昨今、1円でも価格が下がることに敏感になっていることを懸念したものかは不明だが、段階的に消費者への提供価格が下落すれば、”願ったり叶ったり”と言えるだろう。なお、軽油については別途軽油取引税というものがあり、こちらにも暫定税率が課税されている。こちらは2026年4月1日までに廃止されることが決定。消費者への負担はガソリン税同様に、年内に負担が解消されるという。

・いったいどのくらい安くなる?
暫定税率が廃止される、イコールその額面どおりガソリン価格が安くなる、と考えがちだが、実はそうはいかない。実際、現時点でガソリン価格には政府から各石油元売り業者に対しての補助金がすでに含まれている。ちょうどコロナ禍で原油価格が急騰、その差額を緩和させるため、政府による補助金制度がスタート。10月末時点では、1リットルあたり10円の補助金が各石油元売り業者に支払われていることを忘れてはならない。日本エネルギー経済研究所石油情報センターが11月10日に行なった石油製品小売市況調査を参考にすると、この時点でのレギュラーガソリンが173.5円だった。補助金分10円を上乗せすると183.5円となり、そこから暫定税率分の25.1円を引き、加えて該当分の消費税2.6円も引くと、あくまでも目安ではあるが1リットルあたりのガソリン代は155.8円になるだろうか。しかしながら、すぐにガソリンスタンドで給油する価格に反映されるものではなく、それこそ段階的に時間をかけて下落するものと考えられる。2週間ごとに5円という形ではあるが、価格が下がるまでは…と給油を差し控えるようなことがないように注意する必要があるだろう。

一方、年内廃止と声高に言われているものの、法改正の準備はこれから。これにはそれ相当の時間も必要となる。つまり、正式に暫定税率が撤廃されるのがいつなのかはまだわからない。そして。廃止されるまでの間、引き続きガソリン補助金を”ばらまく”必要がある。この補助金は増額する方向であり、その財源はどこから出ていくかは明白。そう、税金だ。ガソリンユーザーから得ていた税収は、年間でおよそ1.5兆円と言われている。政府はこれまで得てきた財源に代わるものをこれからなにで代替するのか。物価高のなか、ガソリンの単価が下がることは喜ばしい一方で、今後、政府が打ち出す他の税金負担が大きくならないことを願うばかりだ。

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