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コラム
(2025/07/14)このほど警視庁が、「外免切替」制度の見直しを明らかにした。外国人が比較的簡単に日本での運転免許証を取得できる”便利”な制度であることに対する懸念が増えてきたことが背景にあるとされる。この”外免”とはいったいどういう制度なのか。そして今後どう変わるのか。
・外国の運転免許証で日本の免許証を入手可能!?
「外免切替(がいめんきりかえ)」という言葉に馴染みがない人も多いと思うが、この制度が日本で運用を開始したのは、1933年(昭和8年)と相当古い。もともと、諸外国でその国の運転免許証を所持していた日本人が帰国した際、日本の運転免許証に切り替えるものだったという。日本での運転に必要な知識はもとより、技術があると認められたら、日本の運転免許証を取得=切替が可能であるという形だ。また、その「知識」を確認するためのテストはイラスト付きの10問の◯?(マルバツ)形式で、7割以上正解すれば合格という。一方、技能試験では路上での運転技術や判断力などをチェックする。 試験官を助手席に乗せて運転するが、その採点は、持ち点100点から減点方式で行なわれ、試験終了時に70点以上残っていれば合格になる。
そんななか、近年日本ではこの制度を利用する外国人が急増しているという。自身が海外で自動車を運転する必要がある場合に当てはめて考えると、「国際免許証」を事前に準備すれば良いと考える読者も多いと思うが、実はこの「外免切替」に必要な確認テストが免除される国がある。アメリカは州によって異なるが、イギリス、イタリア、オーストラリア、カナダ、韓国、スイス、ドイツ、フランス、台湾……などその数は大まかには29カ国に及ぶ。さらに国際免許証の期限は1年間だが、日本の免許証を入手できれば最低でも自身の誕生日を基準に3年または優良運転者になれば5年間有効となる。
仮に、日本に仕事や観光で定期的に日本を訪れ、都度レンタカーを使用する人がいると仮定しよう。毎年国際免許証の準備をするよりも、この外免切替をしたほうがどう考えてもラクだということは明確だ。もちろん、そのためには時間を取って日本の運転試験場に出向く必要はある。多少の好奇心から外免切替をやってみようというクルマ好きの観光客もいるやもしれない。
・外免切替の現状
インバウンド効果の影響もあってか、警察庁のデータによれば昨年1年間にこの制度で日本の免許証を取得した外国人は、6万8000人余りにのぼっており、全体数の94%にのぼる。10年前の2.7倍で過去最多とのこと。国籍別では、最多はベトナム人の1万7千人弱で、ついで中国が1万5000人強になるという。そのなかで、容易な審査が徐々に問題になったとされる。
審査にあたり揃える書類には住所地を記す必要がある。基本的には住民票に記された場所に当たるが、観光客が一時滞在するホテルを住所地とする「一時滞在証明書」と旅券をもって申請しても免許証を取得できる形になっており、実際にホテルの住所が記された免許証の画像データなどがウェブ記事にも掲載されていたものもあった。そんな”手軽さ”を逆手に取り、十分な日本の交通ルールも把握しないままハンドルを握ることが問題視され、事故を起こした際の取締にも影響が出るということもあり、このたびようやく法令改正の運びになったようだ。
・より厳格化を目指す外免
今後の外免切替においては、すべての外国人においていずれの国籍にもかかわらず、原則として住民票の写しをもって申請者の住所確認を行なうこととし、観光客など短期滞在者には切替を認めない方針とし、今後は国際免許証の取得を求めるとしている。
また、手続きに必要となる「知識確認」および「技能確認」の内容も精査し、知識確認の問題は、イラスト問題を廃止してその数を50問にする。かつ90%以上の正答率が必要となる。技能確認も採点がより厳格になるとしている。
現在、警察庁では7月11日からパブリックコメントで意見を募っており(https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=120250015&Mode=0)、その声も参考に、今年10月1日から制度を改正する方向になっている。