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どうなる原油価格。イスラエル・イラン衝突で先物価格が大揺れ

コラム

(2025/06/24)

6月13日の未明、イスラエル国防軍がイランの核関連施設に向け、先生的な軍事攻撃を行なった。イランの首都、テヘランでも複数の爆発音が轟き、多くの死亡者が出た。その後、イスラエルはイランへの先制攻撃を理由に非常事態を宣言した。これを受けてイラン側も報復として攻撃を行なうなど一気に緊張感が高まり、ついにはアメリカが介入する形となった。ところが、24日にはアメリカのトランプ大統領が自身のSNSにおいて、全面的停戦の合意に至ったことを投稿。これに先立ち、原油価格が急上昇したのだが、今後の影響はいかに。

・アメリカ介入による影響
イスラエルの先制攻撃後、イランは報復の攻撃に打って出た。その後、22日にはイランの核施設をアメリカ軍が攻撃。これを受け、今度はイランがその対抗措置としてエネルギー輸送の要であるホルムズ海峡を封鎖するのではないかとの思惑が高まっていた。この流れを受け、自ずと原油価格が上昇。ニューヨークでの原油先物相場では、一時的に1バレる78ドル台へと高騰。前週末の終値より4%超の上昇となり、1月下旬以来のおよそ5ヶ月ぶりとなる高値は、イスラエルによるイラン攻撃前と比較し、およそ2割も高い水準になってしまった。

原油生産のおよそ3割を占める中東地域。両国、アメリカによる攻撃が熱を帯びることにより、供給が滞るのではないかという懸念が先行し、価格高騰を招いた。ご存知のように、原油価格が急騰すれば、ガソリンはもとより、さまざまな物価の上昇に繋がってしまう。こと日本ではコメ騒動が少し鳴りを潜めはじめたばかり、そして、補助金の再開によってガソリン価格もコンスタントに下落しているなかでの紛争劇となれば、依然として物価高に悩まされることになるのではないかという不安が拭えない。

・要の海峡が封鎖されれば…
24日付けで両国が停戦に向けて合意を発表したため、おそらくはもう心配無用という状況になると思われるのだが、万が一、ホルムズ海峡が封鎖されたらどうなっていたのか。

ホルムズ海峡は、中東各国が原油を輸出する際の出口に当たる場所。世界で供給される原油のおよそ2割がここを通過するとも言われる。仮に封鎖が始まると、紛争に介入していない他の中東産油国はエネルギー輸送が実施できず、阻害される形となる。その産油国は当然ながらイランに対して反発する形となり、イスラエルの味方につくことも考えられる。そうなると中東諸国を含む情勢が悪化し、結果として原油相場が更に高騰する形になるのは容易に想像がつく。実際のところ、イランとしてもこの海峡から国家の基幹産業でもある原油輸出を行なっているため、安易に封鎖する可能性は極めて低いと考えられており、最終的には封鎖は回避された模様だ。

日本時間の24日午前7時すぎには、トランプ大統領が両国が「完全かつ全面的に停戦することで合意した」とSNSに投稿し、その後、「公式にイランが戦闘を停止する。12時間経ったところでイスラエルが戦闘を停止し、24時間が経ったところで、世界に戦争の終結が称えられることになるだろう」と説明したと報道された。一方、イランのアラグチ外相も、SNSで「イスラエルがテヘラン時間の午前4時までにイラン国民に対する違法な侵略を停止すれば、それ以降イランとしては対応を継続するつもりはない」と投稿したことが報じられている。

だが、日本時間の夕方5時前には、イスラエル国防省が声明を発表。これによると、トランプ大統領が宣言した停戦をイランが完全に違反した、とし、同軍にイランのテヘラン中心部にある政権の拠点を標的にした強力な攻撃で対応するよう指示を出したことを明らかにしている。停戦が始まったとされる一方で、実際にはまだまだ余談を許さない状況であることも確かなようだ。

・封鎖関係なく、今後も不安定な状況が続く可能性
イスラエルとイランの両国が、戦闘停止に向けて動き始めたかと思いきや、まだ火種が残っているなか、今後どのように間違いなく停戦が実施されるか注視する必要がある一方、まだ停戦が不透明である状況下では、ホルムズ海峡を通過するタンカーを配下の武装勢力が襲撃する可能性も否めない。まだ懸念材料が残るなかでは、今後も原油価格の下落を予想するのは難しいと考えられる。

日本国内では小刻みな価格下落を重ね、ようやくおよそ2年ぶりの安値水準に戻ってきたばかり。そのなかで再び上昇に転じるのはクルマユーザーとしては頭だけでなく、懐も痛いところだ。政府が26日以降、平均価格が175円を上回らないよう、補助金を上乗せする方針を発表していることがせめてもの救いと言えよう。

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