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トヨタ、一体成型による次世代EV生産へ

コラム (2023/09/29)

9月中旬、トヨタが次世代電気自動車(EV)の新たな量産方式を報道関係に公開した。部品を一体成型する「ギガキャスト」を導入し、2026年からの販売車に採用するとしている。新たな技術によるメリットとは?

・車体骨格の成型に大きな変化
一体成型で大型鋳造部品を作るという新技術「ギガキャスト」の導入を明らかにしたトヨタ。同社では、航続距離を向上させた次世代EVにこの技術を採用するというが、トヨタがメディア向けに説明会を実施し、公開したことをきっかけに、自動車部品メーカー各社も取り組みを活発化させているという。ギガキャストとは、自動車の車体部品を大型の鋳造設備を用いて部品をアルミニウム合金で一体成型すること。車体部品を複数のパーツを組み合わせて作る従来の方式に対し、ギガキャストでは、最初からひとつの巨大な部品として製造するというわけだ。

メディア向けの説明会では、製造方法の違いがわかるように従来品を展示。従来品は鉄をプレスしたを溶接して組み上げていくのだが、たとえば、車体の後部は86の板金部品を使って、33の組み上げ工程を経て完成させていたのに対し、開発中のギガキャストを用いると、部品はひとつ、そして工程もたった一度だけで形を成してしまう。目に見えて工程数が削減され、製造時間も大幅に短縮。当然ながら、生産性は格段に向上することは明白だ。同社によると、20%アップは期待できるという。また、アルミニウム合金を用いることから車体の軽量化が実現。これは、EVの燃費向上にも大きな影響を与えることになる。トヨタでは、他の生産技術との組み合わせによって、開発費は従来の半分にすることを目指していくとしている。とはいえ、ギガキャストを”モノ”にするまでは、”改善”が必要だったとのこと。アルミがうまく行き渡らず、シワが発生することもあり、トライ&エラーが続いたという。アルミ成型の技術が容易ではない所以でもある。

・トヨタ生産方式を活用
ギガキャストをいち早く採用したのは、アメリカ・テスラ。自動車メーカーではない新規参入の会社だからこそ、思い切った判断を下したであろうし、軽量化が重要なポイントでもあるEVに特化した生産であったため、先進の技術を選択したと考えられる。今回、トヨタがお披露目した試作機は、高さ6メートル、総重量400トンほどの大型設備の中に、溶けたアルミ合金を高速・高圧で射出。25度程度の冷却水を用いて十数秒で700度から250度まで一気に冷やす。すると、ロボットアームが金型から完成した成型品を取り出すという仕組みになっている。

この先、同社では、2026年の次世代EV販売に合わせ、前部、中央、後部の3つに車体を分ける新構造を採用し、それぞれギガキャストを活用して製造するという。前述のように生産性の20%増が実現すれば開発スピードが向上し、これまで年間およそ2万台に甘んじていた世界販売の台数を大幅に増やすことが可能となり、EV専科のメーカーとの競争にも臨めるのではないだろうか。ちなみに、同社では、2030年に350万台のEV販売を目標に掲げている。そのうち、170万台はギガキャストでの生産を想定しているとのこと。必要不可欠の新技術で、競争力の強化、販売の巻き返しを目論むことになる。

・ギガキャスト採用における課題はあるのか?
ギガキャスト採用にあたり、もちいられるのは鉄ではなくアルミ合金。従来のような鉄の板金プレスと溶接に比べ、どうしても、アルミを鋳造するのはコスト高に思えてしまうのだが、その点はどうなのだろう。確かに新技術採用にあたってのコストはかかるだろうが、その先に勝算があればこその導入であることには違いない。鉄からアルミへ置換されることで原材料の増加も避けられない。だが、都度行なわれてきたプレスや溶接といった細かな工程が一気に削減されることで、コストを抑えることになり、最終的には従来の板金プレスで必要としていたコストと同等になることを目指していくとしている。

一方で、デメリットもある。同社では、まず前部、中央、後部の3つに車体を分ける新構造を採用するとしたが、各パーツの大型化は避けられないため、損傷時の修理や交換が大掛かりになることは明らかだ。従来のクルマでは衝突しやすい部分によって素材を変えるような対応も可能だったが、たったひとつ小さな箇所が凹んだりした場合でも、アルミの板金は極めて難しく、部品交換が求められる。しかし、大型化したアルミボディともなると、ユーザー目線からしてみれば、おいそれと交換というわけにはいかないのではないだろうか。生産コスト減を謳うメーカーの趣旨は十分に理解できるものの、ユーザーの立場から考えると、まだまだ高価なイメージが伴うEVであるにも関わらず、その車体が、万が一のときに修理や交換しづらいものだとすれば、さらに”頭痛の種”が増えるようで、いっそうEVへの親近感が遠のいていくように思えてならない。



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