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なぜホンダはF1復帰を決めたか

コラム (2023/06/02)

5月24日、ホンダは青山本社で記者会見を行ない、2026年からF1に復帰することを発表した。2021年限りで撤退したF1に、なぜまた復帰するのか。そこには、ホンダがエンジン車両開発から手を引き、2040年までに電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)に切り替えるという「脱エンジン」を宣言した同社の今後の”あるべき姿”と関係がありそうだ。

・「復帰」というが…F1活動継続に変わりない!?
ホンダの会見後、テレビや新聞では一斉に「ホンダ、F1復帰」と大々的に報道。レースファン、とりわけF1に詳しいモータースポーツフリークの人たちは、その伝え方に一瞬戸惑いを覚えたかもしれない。というのも、現在もなお、ホンダはホンダ・レーシング(HRC)としてF1のフィールドで活動をしており、今シーズンはレッドブルへの技術支援を行なっている。この技術パートナーシップの締結は2025年までで、この間、レッドブルの車両に搭載されたエンジンの製造および保守を担当することになっている。つまり、今回発表した「2026年からの復活」は、ある意味、F1での活動”継続”であるのだ。

では、なぜメディアは「復帰」という表現を用いたのか。これは、現在の活動は、ホンダ・レーシング(HRC)としてであり、ホンダ「本社」が直接関与しているものではないため。俗に言う”ワークス”活動と一線引いた状態というわけだ。ホンダ本社が「F1撤退」を発表したのは、2020年。このとき、F1への参戦を「終了」すると当時の社長が述べ、カーボンニュートラルをはじめとした「100年に一度の自動車産業の大変革期」への対応を考慮し、F1に別れを告げたとされる。

だが、今回の報道によると、2026年シーズンからは「ワークス活動」が”リスタート”するという。このため、メディアは「復帰」という言葉でもって報道したというわけだ。

・再挑戦の理由
2026年から新たにタッグを組むのは、アストンマーティン。イギリスに拠点を置く自動車メーカーが率いるチームに、動力源となるパワーユニット(PU)を供給することになる。一度、離れたF1に舞い戻ることを決めたからにはそれなりの理由があってこそ。会見ではその背景について説明がなされた。

「F1がホンダの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致し、電動車技術を磨く基盤となる」と社長がコメントしたのだが、これとリンクするのが、2026年からのルール変更だ。F1を統括するFIA(国際自動車連盟)では、レースの脱炭素化に向けて2026年から新たなルールを導入。変更された内容に、エンジンの燃料をバイオマス由来のものなど脱炭素燃料への切り替えの義務化をはじめ、クルマの最高出力に占めるエンジンの割合を現行の80%から50%まで削減。電気で動くモーターの出力と同じ比率への変更がある。もともと、F1という世界最高峰レースの現場は「走る実験室」などと言われ、厳しい条件下で培われた技術やノウハウがメーカーの量産車にフィードバックされると言われてきた。ホンダが目指す今後のクルマ作りと、現行のF1では隔たりが生まれてきたために活動をやめたが、F1を取り巻く環境が変化したことにより、ホンダが目指して着手している量産車への電動化に向けた高性能モーターやバッテリーなどを制御する技術を活かすフィールドとして、改めてF1への挑戦が可能になったのだ。再び「走る実験室」を通して、これからの量産車開発へ繋げていこう__それがこのたびの復帰実現のポイントというわけだ。

量産車がEVをはじめとする脱炭素に舵を切り、国によってはEVを主力車両として積極的に導入を進める一方、モータースポーツは電気自動車だけのカテゴリー「フォーミュラE」などもシリーズ開催しているが、やはり最高峰としての魅力を持つF1はじめ、その他のカテゴリーでは、まだまだエンジン搭載車が主流のまま。”音のある”モータースポーツの魅力は、そう簡単に手放すことは難しい。であれば、脱炭素を意識し、まずはカーボンニュートラル燃料を用いる。さらにパワーユニットの電気化を段階的に推し進める。そういう”アプローチ”を積極的にアピールしなければ、活動費としての資金を担う重要なスポンサーの確保も難しくなる。つまり、活動継続のための脱炭素対応であり、結果としてルール変更に踏み切ることで”折り合い”をつけなければならなくなっているのだ。

ただ、HRCとしては、2025年までレッドブルへのパワーユニットの技術提携が続いており、2021年にホンダとしての撤退後も、技術研究としてパワーユニットの製造者登録は続けていたとのこと。このため、2026年の本格復帰をアナウンスした際には、複数のF1チームからの連絡があったと、会見で明らかにされた。つまり、ホンダとして「第5期」となるF1参戦は、パワーユニット供給という”稼ぐ”ビジネスとして注目される可能性も高いといえるだろう。なお、マスコミでは「ホンダF1復帰」と報道されたが、2026年からのF1参戦は「エンジン供給」という形となるため、現在もF1で活動を続けているHRCがパワーユニットの開発とレース参戦および運営の指揮を担当する。つまり、「ホンダF1復帰」はあくまでも”言葉の綾”であり、現状どおり、HRCによるF1活動継続を意味することに違いはなさそうだ。



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