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エンジン不正の日野。今後の対応は?

コラム (2022/08/19)

8月上旬、新聞各紙やテレビのニュースを賑わした日野自動車の不正問題。トラックやバスなどの商用車の製造を担う大手自動車メーカーとして歴史ある会社だが、長年に渡り排ガスや燃費の性能において不正を働いていたことが明らかとなり、ひいては組織問題に問題があると言われるようになっている。虚偽の報告がまかり通った背景には一体なにがあるのだろうか?

・今年3月に問題が発覚
今年3月4日、同社が開いた記者会見で明らかにしたのは、国内向け車両に搭載する3種類のエンジンにおける不正行為。2016年(平成28年)排出ガス規制の対応で、不正行為があったことから、搭載車両の出荷を停止し、燃費性能の問題が判明したエンジン1機についても出荷停止を行い、国土交通省と経済産業省に報告したというものだった。この時点で安全上の問題は発生しておらず、継続使用における問題もないと言い、ユーザー側の対応も不要だったとした。出荷停止にあたり、年間販売のおよそ35%に相当する台数が市場に出なくなる懸念が浮上したが、その後次々と明らかになっていく大きな問題点からすれば、この時点で伝えられていた問題などちっぽけなものだったことが今ならよくわかる。

この会見から1ヶ月しないうちに、国交省は同社に加え、同社のエンジンを搭載するバスを販売するトヨタやいすゞにおいても行政処分を実施する。そして8月上旬に入り、マスコミが一斉に報道したのがこの不正行為が2003年(平成15年)以前から行われていたという衝撃の事実だった。8月に同社が改めて行った会見で、3月時点で公表していた不正行為は、2016年秋以降ではなかったことが明らかとなり、長きにわたる捏造は組織的なものであることが決定的となった。この結果、不正エンジンが搭載された対象車両も一気に増加。判明しただけでもこれまでのおよそ12万台から56万7千台へと急増する事態に陥った。加えて、2016年に国交省が求めた排ガス、燃費試験をめぐる実態調査においても虚偽報告していたことも明らかにされ、自動車製造メーカーを震撼させる出来事となった。

・更なる不正はなぜ明らかとなったのか?
3月に行われた会見ではこれほど大きな問題になると思われていなかった不祥事。8月の会見で大きく悪い方へと軌道修正されたのには訳がある。この問題発覚を受けて原因究明に取り組んでいた外部弁護士らによる特別調査委員会が、次々と新たな事実を見つけ出したからだ。現行車種でが中型バスなどの8車種が不正対象車両と判明。出荷停止となった。結果として、国内で出荷できる車両は小型トラックに限定され、国内販売実績をベースにして考えた場合、およそ5割の車両が出荷不可能になってしまった。

この背景にあるのは2003年に導入された排ガスの新たな環境規制だったようで、同社はこれをかいくぐるかのように虚偽の報告書を提出。加えて、燃費においてはトラックなどに税制優遇が設けられた2005年以降の多くの車種で不正が発覚している。国の定める試験方法に従わず、燃費や排ガスの数値を実際よりも良いものにデータを改ざんし、”優等生”車両として市場に送り出していたことになる。

・なぜデータ改ざんが長く続いたのか?
虚偽の申告を受けた国交省は、同社に対し厳しい対応を行う方針を明らかにしたが、なぜ長きに渡りこのような体制がまかり通ったのか。特別調査委員会は、この不正の原因を「上にものが言えない」体質が同社にあることを指摘。上司の意向を受けて現場が追い詰められたという。中でも燃費データの改ざんは、一定の燃費目標を達成した車両に対して、自動車取得税が軽減されることになった2006年度からだという。上層部が大型車両のエンジンにおける目標達成を要請。実際の性能は大幅に未達だったというが、役員の強い求めに応じるため、開発担当者が燃費データの操作に手を染めたと報告された。役員の要求に対し、現場が”NO”を突きつけられず、不正行為に着手。一度動き始めた流れはその後も止まることなくいつしか暴走することになったようだ。「言った」「言わない」の水かけ論の話になってしまうことではあっても、経営陣と現場との間に大きな隔たりと風通しの悪さがあったことには違いない。全従業員へのアンケートを実施した際には、「『できません』『分かりません』は言えず『やるのが当たり前』の文化」があるという声が上がったという。もはやガバナンスが機能していないと思われるような現場の悲痛な声とも言えよう。特別調査委員会は、今後の再発防止に向け、品質保証部門の役割の明確化や機能強化はもとより、このような事態を招いた会社としての組織風土の見直しが性急だとした。

・再建に親会社のトヨタはどう動く?
同社は2001年にトヨタの子会社になった。現在、トヨタグループにおいて商用車戦略を担う立場でもある。今回の不正に関して、グループとしての管理体制のあり方がトヨタにも問われることになるだろう。そして何よりも、トヨタとしてはこの先、親会社として再建に向けての連携を強めることが求められるはずだ。

トヨタは子会社するにあたり、出資比率を50.1%に引き上げた。また、社内には経営幹部も続々と送り込んでいる。ここ20年近くはトヨタ出身者が社長を歴任するなど、トヨタカラーを強めている。それだけに今回発覚した不正によって、業績悪化が及ぼす影響は数知れない。日本を代表するトラック大手のメーカーゆえ、膿出しの時間は必要だろうが、新たな覚悟を持って実践を示していくことが、再生の道であることに違いはないと思われる。



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