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マレリ、再生法申請へ。気になるモータースポーツへの支援

コラム (2022/06/30)

去る6月24日、自動車部品大手のマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が民事再生法の手続きを東京地裁に申請したというニュースが報道された。法的整理の一種である民事再生法の「簡易再生」を目指すという。事実上の経営破綻となるが、今後、自動車製造業にどのような影響があるのだろうか。

・かつてのカルソニックカンセイ
モータースポーツファンであれば知らない人はいないであろう「カルソニック」のブランド名。今シーズン、闘将・星野一義監督率いるTEAM IMPULがSUPER GTで参戦中の車両名は「カルソニック IMPUL Z」であり、IMPULイコール”カルソニック”というイメージがすっかり浸透している。そのカルソニックとは、もともと企業名であったが、その起源は1938年に創立された日本ラヂエーター株式会社にある。その後、1988にはカルソニック株式会社と社名変更され、2000年には株式会社カンセイと合併し、カルソニックカンセイ株式会社となった。また、カンセイが日産系自動車部品メーカーであったこともあり、2005年には日産の連結子会社となって好調な経営状態が続いていた。そんななか、2016年には日産自動車が「株券に対する公開買い付けの開始」を発表。結果、アメリカの投資ファンドであるKKRに全株式が売却されることになった。これにより、カルソニックカンセイは日産グループから離脱。IMPULへのスポンサードについて去就が噂されることもあったが、その後もチームのメインスポンサーとして契約が継続されており、”カルソニックブルー”GTマシンがサーキットを疾走している。

一方で会社経営は変革が続き、KKRの完全子会社から2017年にはCKホールディングス株式会社が株式売渡請求。これにより、CKホールディングスの完全子会社へと変わった。さらに翌年、CKホールディングス株式会社、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が保有するイタリアの部品大手であるマニエッティ・マレリの全株式を買収し、統合。当時として世界7位の自動車部品メーカーとなり、2019年には社名がマニエッティ・マレリCKホールディングスに変更され、商号がマレリ株式会社となった。2020年には法人名を現在の「マレリホールディングス」に変更。ところが、この辺りから事業環境が不透明であるとされ、さらに新型コロナウイルスによる自動車の生産停滞が追い打ちをかけることとなり、経営状況が悪化。2017年に東証一部上場廃止後、計画されていた2022年までの再上場を断念することになった。そのなかでKKRと銀行からの追加資金確保を発表していたが、2022年に入るとその債務が1兆円規模へと膨らみ、2月には「事業再生ADR」という経営再建を目指すという発表をしていた。

・私的整理を目指すも……
この「事業再生ADR」とは、会社の経営が行き詰まった企業が事業再生を目指すために当事者間の話し合いで解決する手続きをいう。裁判所の法的整理である会社更生法、民事再生法、破産法などと異なる。裁判外紛争解決手続とも言われるのはそのためだ。また、手続きは金融債権者に限って行われ、取引債権者に影響はなく、事業や雇用、商取引(得意先、仕入先など)も原則継続することができる。

今回、マレリでは親会社であるKKRをスポンサーとする再建計画案を5月末にまとめ、取引金融機関には総額でおよそ4500億円の債権放棄を中心とする金融支援を要請。ところが、24日に開催された債権者集会において26金融機関の一部が同意を拒否、賛成率が95%という結果に。日本におけるADRは全債権者の同意がなければ成立しないため、私的整理は不可能という結論に至った。

これを受け、マレリは東京地裁へ民事再生法の適用を申請。再生手続き開始決定となった。今回の手続きにより、明らかとなった負債額はおよそ1兆2千億円とのこと。製造業としては戦後最大級の経営破綻になると報じられた。また、負債額が1兆円を超えるのは、2017年6月に民事再生法の適用申請を行なったエアバッグメーカーのタカタ以来、5年ぶりになるという。奇しくも、自動車関連会社が続く結果となってしまった。一方、帝国データバンクの調査結果によれば、マレリと取引があるサプライヤーは全国におよそ3万8千社あるという。中でも首都圏には1万4千超、近畿は7千弱に及ぶが、マレリによると、事業再生ADR同様、事業子会社はじめ、取引先に影響は出ないとのことだ。

民事再生法の「簡易再生」手続きを申請した結果、金融再建ベースで過半の同意があれば再建計画も成立するため、手続き上はADRとほぼ同じとのこと。前述のように、今回はADRを目指しておよそ95%の賛成を得られたため、本来であれば5ヶ月程度かかる民事再生の手続きも1ヶ月程度で成立が可能だとしている。コロナ禍で事業悪化が加速したという背景もあるが、この間にロシアへのウクライナ侵攻が始まり、依然として厳しい状況にある半導体不足への対応という問題も山積している。また、マレリはガソリン車向けの部品が多く、世界中の自動車メーカーが徐々に電気自動車化に向かうなか、サプライヤーとしてどう再建していくのか、その進む道は決して容易ではないことは確かなようだ。



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