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富士24時間耐久レースにお目見えする”カーボンニュートラル”なクルマとは?

コラム (2021/05/14)

緊急事態宣言の実施区域が6都府県から新たに1道2県の追加が了承される中、来週21-23日には静岡・富士スピードウェイにおいて2021年スーパー耐久第3戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」が開催される。現在、日本でただ一戦しかない24時間レースは年々日本のモータースポーツファンに浸透、初夏の訪れを前にしたサーキットで夜を徹しての!? 観戦を思い思いに楽しんでいるようだ。この24時間レースに、今年注目すべき新たな車両がお目見えする。それが水素エンジン搭載の車両だという。

・カーボンニュートラルへの第一歩に!?
実戦での走行を前に、4月28日には同シリーズの公式テストに出走した水素エンジン搭載車。車両はカローラ・スポーツをベースにしたもので、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更。水素を燃焼させることで生み出す動力を利用する。心臓部には1.6リッターのGRヤリス用エンジンを転用しているほか、燃料デリバリー。インジェクター、プラグ等が変更されている。気になる二酸化炭素の発生だが、ガソリンエンジンで発生するエンジンオイルの燃焼分が極めてわずかにあるものの、これを除けば走行時の二酸化炭素は発生しないという。

現在、トヨタ自動車が公開中の「トヨタイズム」には、「発売めどもない水素エンジンで、なぜレースに出るのか?」という記事が紹介されている。もともと同社ではすでにMIRAIという燃料電池車が発売されている。MIRAIは水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を起こしてモーターを駆動。一方、富士に参戦する車両は、既存のガソリンエンジンに一部変更を加え、水素を燃焼させることで動力を生むと記されている。ガソリンと100%の純水素のみを燃料とするため、今、世間が声高に唱え始めた「カーボンニュートラル」へのアプローチになる車両であることは言うまでもない。一方、まだ具体的な市販計画を持たない「水素エンジン車」。開発の観点からすれば、レースはまさに”走る実験室”ではあるが、正直まだハードルの設置すら準備できていないレベルの開発をレースという実戦で行う必要があるのだろうか。

・レースでは、”モリゾー”自身がステアリングを握る
「トヨタイムズ」では、トヨタが水素エンジン車でレースに参戦する意義を唱えている。また、富士24時間に参戦するにあたり、トヨタ自動車の豊田章男社長自身がドライバーのひとりとしてステアリングを握ることを発表している。記者会見で「水素というと爆発のイメージを多くの国民の方が持たれていますので、安全を証明するためにも私がドライバーとして参加していきたいと思っております」とコメント。進化を追求する中で、実戦に挑むレースは3時間でもなく、5時間でもなく、24時間もたせるような準備ができていないといけないからだ、とした。

なお、同社ではもともと水素エンジンの研究に取り組んでいたという。その中で気がついたのは、「水素はガソリンよりも燃焼速度が早く、応答がすごくいい」ということだった。その中で、「環境技術でありながらも、音や振動といったクルマらしさが出る試作車を作ろう」という発想が生まれたという。

ところで、水素エンジンとガソリンエンジンとでは、どういう違いがあるのだろうか。耐久レースは、開発の中で耐久性を試す場でもあるが、”戦場”としてライバルと競うところでもある。つまり、水素エンジンならではのメリットが少なからずあるはずだ。「トヨタイムズ」では、水素の特性に触れ、「燃焼速度がガソリンの8倍あり、応答が早い。低速のトルクの立ち上がりも早く、トルクフルでレスポンスがいい」と述べている。一方、水素は着火性が良いことを”弱点”として捉えた場合、異常燃焼をいかに抑え込むのかがポイントとなる。開発を重ねる中、異常燃焼をコントロールできるようになってきてはいるというが、24時間の長丁場ではこの弱点にフォーカスし、問題が起こればそれを解析、対策していくという地道な作業が求められるはずだ。

レースという実験の場でクルマを走らせて初めてわかる問題点は、決して少なくないだろう。だが、今回の参戦の根底になるのは、電気自動車の開発、そしてガソリン車からの移行という大きなうねりにある今の自動車業界の進む道に一石を投じたいというトヨタの思いも透けて見える。「今回の水素エンジンは、エンジンもカーボンニュートラルの役に立てること、そして、モータースポーツを支えるメカニックやプライベートガレージの方が将来使えるプラットフォームにできるよう、まずはROOKIE Racing がトライさせていただきたい」と豊田社長。世界を見渡せば、自動車大国のアメリカはじめドイツでもEVの開発、製造へと舵を切る自動車メーカーが多い中、日本におけるカーボンニュートラルを実現するには、EVがすべてではないというメッセージでもあるのではないか。長年に渡り、「日本のモノづくり」を支えてきた自動車産業。日本独自のカーボンニュートラル──、そのひとつ、「高効率エンジンとモーターの複合技術」とカーボンニュートラル燃料をあわせることにより、二酸化炭素の大幅な低減実現の可能性についてもっと真摯に向かうべきだとメッセージを送っているようだ。これからの自動車はハイブリッドでなくEV……、という一辺倒な考えにとらわれず、二酸化炭素を排出しない燃料とはなんぞや? というスタンスで次世代の自動車づくりを考慮すべきだ、と言われている気がする。



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