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水素?それとも電気? どこに向かう、これからの”クルマ”

コラム (2021/04/29)

今月19日に開幕した世界最大級の自動車展示会「上海国際モーターショー」。依然として新型コロナウイルス感染拡大の抑え込みに世界中が躍起になっているとはいえ、着々と経済回復を進める中国での展示会では、各自動車メーカーがこれからの自動車市場で主軸となるであろう新型モデルを次々と公開した。電気自動車(EV)を中心とする新たな競争が広がる中、一方で水素エンジンを活用しようとする動きも見えてきた。ともに”脱炭素”がキーワードとなる。

・上海では新型EVの百花繚乱
今、世界中が”脱炭素”の大波襲来に対応を迫られている。温室効果ガス削減という大きなミッションを背負うのは、なにも自動車に限ったことではない。”モノ”を作る、”モノ”を動かすときなど、人類が地球上で”何か”をするときに必ずと言っていいほど関わってくる問題でもある。

現在、国内で排出される二酸化炭素のうち、およそ16%を占めるのが走行中の自動車から排出されるものだと言われている。一方、国内の鉄鋼業界のそれはおよそ14%。製造業では最も多いという事実を考えると、いかに自動車からの排出が多くを占めているか想像しやすい。この状況を受け、日本政府は乗用車の新車販売において遅くとも2030年代半ばをめどに、すべてEVなどの電動車へ移行することを自動車業界へ求めている。とはいえ、街中に目を移せば、現状、公共の充電施設はおよそ3万箇所に留まっており、充電インフラの普及には程遠い。

だが、上海のモーターショーを見る限り、EV等への以降は待ったなしの状況にあることは明確だ。例えば、トヨタは新しいEVシリーズ「トヨタ bZ」を発表。2022年にはSUV(スポーツ用多目的車)のEVを発売予定とし、中国ではブランドイメージが高い「クラウン」のSUVとして「クラウン・クルーガー」を初披露した。日本ではセダン車として現行の15代目をもって生産が終了するのではないか、という推測が飛び交っているが、この先、新たな活路を見い出すのかもしれない。このほか、トヨタでは2025年までにシリーズ7種を含む、EV計15車種を世界で導入すると、上海で明らかにした。

・ホンダ、ハイブリッドに見切り
日本と比較にならないほど、ハイブリッド、EVの新車販売で世界一を誇るのが、中国だ。コロナ禍にあった昨年との比較ではあるものの、今年は1月からの3ヶ月で前年比の3倍近い売れ行きがあるという。その背景にあるのは、中国”国産車”の躍進だ。ガソリンエンジンとは異なり、シンプルな構造で生産可能なEVは、中国の国家戦略としてバックアップを受けて力を伸ばしてきた。現在、中国では比亜迪汽車(BYD)はじめ、上汽通用五菱汽車(SGMW)、そしてアメリカのテスラが人気を誇る。また、世界でも動きが大きくなっている、既存の自動車メーカー以外??IT企業による参入も増えており、これらは得意とする自動運転技術を盛り込んだEV製造を目指しているという。BYDももともとは電池メーカーだったが、今後は、異業種の参入によって、自動車そのものの在り方が大きく変わってくる可能性は決して小さくないといえる。

そんな中、ホンダでは新たに社長に就任した三部敏宏氏が今月23日の記者会見で、ガソリン車だけでなく、ハイブリッド車(HV)に見切りを付けることを明らかにした。もともとエンジン技術を磨いてきたエンジニアでもある三部氏だが、「自動車メーカーとしてカーボンフリーをめざすことが責務」と言及。日本政府が2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指す目標を念頭に、「2040年には新車からの二酸化炭素をゼロにしなければならない」とコメントしている。政府は温室効果ガスの目標数値こそ明確にしているが、自動車業界に対し、脱HVを求めているわけではない。だが、ホンダは社長自身が2040年に販売する新車のすべてをEVおよび燃料電池車(FCV)にするとし、ハイブリッドからの脱却を明確な目標として掲げたことになる。これまでガソリンエンジン車の心臓部を作り、ホンダを下支えしてきた中小企業にとっても衝撃的だった記者会見。EVに必要なリチウムイオンバッテリーに代わる新たな電池の開発も急務であるだけに、その道程は決して平坦ではない。

・トヨタは水素エンジンに着手
ホンダ・三部社長の会見の前日、日本自動車工業会での記者会見で、同会長を務めるトヨタの豊田章男氏は「道のりは1本じゃない。ガソリン車の販売を禁止するなどの選択肢を狭める方法では、日本の強みをへらすことになる」と主張していた。政府が掲げる目標実現のため、厳しい制約が迫る中での警戒感であろう。実のところ、EVが二酸化炭素を排出しないのは走行時。しかし、その生産過程に目を移すと、HVより多くの二酸化炭素を排出するというのだ。日本のように発電の多くを化石燃料に頼る場合、結果的にEVとHVにおける二酸化炭素の排出量は大差ない、という試算もある。一方、EVが普及するスピードに日本国内のインフラがどこまで歩調を合わせられるか、という点も懸念材料として残るだろう。毎年、夏になれば毎日のように熱中症の注意喚起がTV等で伝えられる昨今、一方では「電気の使用量」をうまくコントロールする”省エネ”も気になる。「二酸化炭素を出さないために、電気を使おう」と声高で言う反面、その電気を生み出す過程で二酸化炭素を生み出すことに拍車をかけるのであれば、これはもう本末転倒と言うしかない。

そこに一石を投じたのが、トヨタの「水素エンジン車」だ。市販車への着手にはまだほど遠いが、来月下旬、静岡・富士スピードウェイで開催されるスーパー耐久シリーズ第3戦「富士SUPER TEC24時間レース」に水素エンジン搭載車での参戦に挑むという。車両は同社のカローラスポーツをベースにしたもの。同社では「モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことで、サスティナブルで豊かなモビリティ社会を実現すべく、貢献していきます」と発表した。すでに市販化されている同社のFCV「MIRAI」も水素を燃料とするが、こちらはEVの一種で水素と空気を化学反応させて作った電気をパワートレインにしてモーターを駆動する。また、走行中に二酸化炭素を排出しない。一方、今回レースで投入する車両に搭載された水素エンジンは、「ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させるもの」とのこと。ガソリンエンジンでも発生するごく微量のエンジンオイル燃焼分(窒素炭化物)を除けば、走行時に二酸化炭素は発生しない。

世界中がEVへのシフトに動き、高価なリチウムイオンバッテリーの獲得に躍起になることに対し、水素エンジンは既存のエンジン技術を活用し、低コストで二酸化炭素からの脱却を実現できるというトヨタの主張は、これまで日本の主幹産業として君臨してきたメーカーの気概を感じずにはいられない。長年に渡って培われてきた自動車産業における技術をいとも簡単に手放すのではなく、これまでの技術を強みとして活かしつつ、脱炭素を実現する??これこそが、日本の自動車メーカーが目指すべき姿だというものだ。



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