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どうなる!? BSタイヤ、フランス工場閉鎖問題

コラム (2020/10/23)

9月中旬、ブリヂストンタイヤの公式サイトに掲載された「フランス・べチューン工場の閉鎖に向けた協議を開始」と記されたリリース。これは、同社の欧州グループ会社が発表したものを、日本語にて掲載されたものであるが、明らかにされた計画を受け、いち早く声明を出したのが、フランス政府だった。猛反発し、撤回を求めているという。なぜ、一企業の計画に政府が関与するのだろうか。

・需要の伸び悩みを受け、閉鎖を計画
日本語にされたリリースには、1961年に操業を開始したべチューン工場の閉鎖計画が記されていた。その中に、近年、欧州では乗用車用タイヤ市場が悪化傾向にあり、需要が伸び悩んでいるタイヤ内径が18インチ未満の低インチタイヤの供給能力が過剰気味となり、狭小環境が厳しいという理由が上げられている。一方、いわゆるSUVやスポーツカーを対象とする高インチタイヤは同社のプレミアムビジネス戦略に位置付けされており、今後は高インチタイヤの販売強化にシフトしていく方向だとしている。

ところが、閉鎖計画に上がったべチューン工場は、低インチタイヤの生産を主であり、製造設備などの制約を踏まえると高インチタイヤへの生産シフトは困難とのこと。操業継続を目指して様々な可能性を探ったものの、結果として工場閉鎖に至ったという。同工場には863名の従業員が勤務。閉鎖するにあたり、その家族を含め、フランス北部に位置し、およそ人口2万5千人というべチューン地域社会では、同工場が最大の雇用の受け皿だったと言われており、閉鎖の影響を最小限に留めるための対策を今後講じることになる。

・完全反対のフランス政府
同社がべチューン工場の従業員代表に閉鎖計画を伝えたことを受け、すぐに動いたのがフランス政府だった。ニュースによると、ボルヌ労相や経済・財務省のパニエリュナシェ副大臣は「完全に反対」、また、ル・メール経済相も「言語道断」と手厳しいコメントを発表。現地には、労働相や産業担当相が現地に入り、従業員代表と面会を行ったとも伝えられた。「フランス当局の信頼を裏切った」とフランス政府から強く非難を受けたブリヂストン。「言い訳を探すかわりに責任を探す必要がある」とまで言われるのはなぜなのだろう。

政治問題まで発展した今回の閉鎖計画。ここまで民間企業を相手に強く非難するのは、やはりコロナ禍による影響を避けては通れない。閉鎖に限らず、リストラの計画がある企業も少なくないという。6月にはフィンランドの通信機器大手ノキアがフランス国内で1233人の雇用削減を発表。さらに、アメリカのゼネラル・エレクトリックも9月に700人超のリストラ計画を明らかにしている。大小様々な企業が従業員の削減を次々と明らかにされては、フランス政府もたまったものではない、というのが本音だろう。なにしろコロナ禍のフランス政府が最優先で打ち出していつのは「雇用問題」。その証拠に、9月上旬には、コロナ対策の一環として、総額1千億ユーロ(およそ12兆3千億円)の復興計画を発表。その中には企業向けの減税案も盛り込まれ、雇用を守る姿勢をアピールしていた。それだけに、40年超、一地域で多くの雇用を生み出してきたブリヂストンの決断はなによりの痛手になっていると言えるだろう。

・閉鎖撤回を目指し、維持への模索
フランスの新聞大手ルモンドが伝えたところによると、3月以降、フランス国内では345社がリストラを発表し、その結果、人員削減数はおよそ5万人近くに上るとのこと。

何が何でも閉鎖を撤回させたいフランス政府の動きは早かった。中旬には、パニエリュナシェ産業担当相が記者会見で工場維持に向けた提案をブリヂストン社に行ったことを発表。「何もせずに工場を閉鎖させることはしない。工場の将来のために努力を続ける」とした案では、従業員をおよそ半数強にあたる560人まで減らし、少なくとも1億ユーロ(およそ123億円)あまりの設備投資を実施する。結果、生産性を最大40%高められるとしているという。

フランスでは労働者による長期ストライキも決して珍しいことではない。毎年のようにこれまでも輸送トラックや公共交通機関の電車やバスが仕事を放棄し、国内がマヒする様子もニュースで伝えられているので、想像に難くない。政府の動きに対して、ブリヂストン側も新たな声明を発表。閉鎖以外の選択肢を探るとし、従業員との話し合いを5ヶ月間行うとしている。納得できる解決策は果たして見つかるのか。今後、複数の策が提示されるだろうが、いずれにせよ「現状維持」の道が絶たれることは避けられないことは事実だ。



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