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原油急落。先物価格で初のマイナスに

コラム (2020/04/27)

前回、コラムで石油の供給減産合意について、OPECとその非加盟国による臨時会合までの流れを紹介した。その後、4月21日にはWTI(米国軽質原油)先物価格の取引でマイナスに動き、終値が1バレルあたりマイナス37.63ドルとなった。アメリカ・ニューヨーク商業取引所において原油価格がマイナスに至ったのは、史上初のこと。その背後にあるのは、長引くコロナ禍であることは明確。感染拡大による世界経済の停滞により、エネルギー需要が急減したためだ。歴史的原油安は、なぜ生じたのか。

・先物市場初の「マイナス価格」
先物取引の価格が史上初のマイナスになった。これは、原油の売り手が買い手にお金を支払って引き取ってもらうことを意味し、その手数料を支払うため、”マイナス価格”と言う。マイナス価格になる前週は、終値が1バレルあたり18.27ドルであったことから、結果として55.90ドルの急落となったが、取引時間中には終値よりも低い1バレルあたりマイナス40ドル超まで下がったというから、いかに”コロナショック”が大きいかわかるだろう。

このWTIの原油先物市場は、将来ある時点で受け渡す原油について、量および価格をあらかじめ決めておく取引だが、受け渡しの拠点となるオクラホマ州クッシングにある原油貯蔵施設では、その原油が余りはじめ、4月3週時点では原油在庫が6000万バレル弱になり、1ヶ月で5割超も増えたという。貯蔵タンクやパイプラインの能力の上限とされる7600万バレルまで空きがあるように見えたが、実は多くが予約で埋まっていると言われており、6月中にも満杯になるとみられている。現時点の日量で1000万バレル超になるという供給過剰状態が長引けば、その貯蔵余力がますます懸念されることになる。そうなれば、貯蔵先として海上のタンカーなどが使われるこため、当然保管する間の料金が発生することになる。売れないものを抱え込み、その保管料を支払うという、”負のスパイラル”が起こるというわけだ。

今、世界中がそうであるように、新型コロナウイルス感染拡大の煽りを受け、アメリカでも外出制限が出され、自動車はもちろん飛行機の動きがストップ。過剰在庫を抱え、損が膨らむのを回避するためか価格が急落。中にはレギュラーガソリンが1ガロン(およそ3.8リットル)あたり1ドル未満で売られるケースも報告されているそうで、ほとんど”たたき売り”状態に近いという。日本でも4月20日時点で調査された全国平均の小売価格が、レギュラーガソリンで1リットルあたり130.9円だったが、近々1リットルあたり130円を切るのではないかと言われている。そうなれば、ほぼ3年4ヶ月ぶりの下落となる。

・OPECは供給減産に合意するも…
OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非加盟国の主要産油国で構成される「OPECプラス」では、4月上旬に臨時会議を設け、5、6月に日量970万バレルを協調して減産することを決めた。実はこのOPECプラス、3月上旬の時点で、協調減産の拡大を一度協議したものの、このときは物別れに終わった経緯がある。これを受け、一転して産油増にサウジアラビアが動いたのだが、これにはシェールオイルで一大産油国に変貌を遂げたアメリカへの揺さぶりがあったのでは、という見方が伴っていた。

だが、このあと、思いも寄らない形で世の中の動きが急変する。それが新型コロナウイルスの感染拡大だ。世界経済の動きが一気に鈍化し、原油は需要対象から外れ、在庫がだぶついた。そこでふたたび臨時会議を設けたOPECプラスは、臨時会議によって過去最大レベルの協調減産合意に踏み切ることとなった。ライバルの動きを意識するあまり、自らも危うい立場へと追い込んでしまった代償は大きく、結果的に原油価格は急落したままとなっている。自ら招いた苦境は、OPECプラス、そしてアメリカ自身にも悪い影響をもたらしている。

さらに、IEA(国際エネルギー機関)によると、前年3月の需要と比較すると、日量1080万バレルから4~6月は日量2300万バレルへと落ち込む見通しだという。日々迫りくる需要の減少に、減産が追いついていないのだ。海上タンカーに原油が積載されるのは、アメリカに限ったことではなく、世界中に広がっている。

・最優先は市場の安定
OPEC、そしてOPECプラスが次なる動きに手を打ったとはいえ、依然としてアメリカを敵視することに変わりはない。その証拠に、5月以降生産を4割減らすサウジアラビアだが、現在も備蓄原油を放出し、ギリギリまで高水準の供給を続けようとしていると言い、動きは鈍いと関係者は見る。一方のアメリカとて同じこと。WTI先物価格が史上初のマイナスを記録したものの、現時点で産油の減産について具体的な言及を行っておらず、原油安による自然な減産を待つ方針と聞く。

互いを牽制するあまり、大打撃を受けている世界経済の厳しい局面を注視しようとしないどころか、未だにギリギリの駆け引きを続けているのが現状となっている。このままでは原油価格が乱高下する可能性もあり、たとえコロナ禍が収束に向かうことになっても、経済危機からの立て直しに影響を及ぼす事となる。まずは需要と供給の安定という原理原則が成立してこそ、冷え込む世界経済をいち早く立ち直らせることができるというものだ。



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