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路線バス、共同経営で地域路線を守る

コラム (2020/01/31)

公共交通の維持を目指す地方でとある取り組みがスタートする。各地域を結ぶ移動ツールとしてのバス路線を維持するため、バス事業者が共同経営での運営を打ち出したのだ。過疎化が進む地方や都市部にほど近い郊外において、近い将来訪れるかもしれない問題にいち早く取り組むワケは?

・利用者減少で苦しむバス会社
都心部以上に自家用車の所有率が高いと考えられる地方。今や”一家に一台”を超えるクルマの普及により、自宅から最寄り駅まで徒歩や自転車でへ向かうことが難しい世帯の場合、以前なら主流だったバス利用から、自家用車が送り迎えに使用されることも決して珍しいことではない。結果としてバス利用者は減る傾向に陥り、またこの負のスパイラルによってダイヤ改正が発生し、減便はもとより始発や最終の運行時間の短縮等にまで影響を及ぼしているとも考えられる。当然のことながら、バス会社としての経営が厳しくなり、雇用体制の見直しによるリストラも行われてきたと思われる。

国土交通省の調べでは、2017年度の経常収支が赤字となったバス会社は、3大大都市圏を除いた地方部における165社のうち、8割を越えたとしている。また近年は働き手不足という社会全体の問題にも直面している。18年の有効求人倍率を見ると、全職業平均で1.45倍となる中、バスやタクシーといった公共交通期間の運転手は、なんと2.98倍という高倍率。つまりバス会社は、経営難だけでなく就業する人材不足にも頭を悩ませていることになる。

これが先述のように、地方部や過疎地に話を当てはめるとさらに問題は深刻となり、住民を支える交通機関でありながら、経営が立ち行かなくなる可能性がじわりじわりと大きくなってきているのだ。だが、鉄道網が十分に発達していない郊外、さらに過疎化などで若年層の定住が見込めず、自身でクルマを運転することが難しい地域などにおいて、バスは貴重な”生活の足”。それだけに、バス会社は厳しい経営でありながらも、経営維持を求められる厳しい立場であることに変わりはない。

・活路を見出すための”結束”
地方で経営する複数のバス会社にとって、ライバル会社との競合は避けられないものの、逆に諸般の問題が大きくなり、”共倒れ”することがなにより最悪のシナリオであることは明らか。将来の問題として、まず地方自治体から動き始めたところがある。そのひとつ、熊本県、熊本市では、県内5社のバス会社と昨年3月から話し合いを始め、共同経営に移行する方針で話し合いを進めてきた。事業者は、熊本都市圏を中心とする路線バス事業において共同経営を行うことになる。

5社は九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バスであり、いずれも同市に本社がある。利益優先よりも、共同経営に舵を切る決断を促したのは、利用者の減少だったという。熊本市によると、県内は鉄道網が乏しく、バスが公共交通の中心を担っている。だが、18年度の熊本都市圏における路線バス利用者は2526万人。これは記録が残っている1975年度のおよそ25%に該当し、相当な減少を物語っている。さらに、2016年4月に発生した熊本地震の影響で、運転手不足にも拍車がかかっているとのこと。人手不足はこの先さらに深刻になり、結果として路線廃止や減便を引き起こすことになり、交通の足にも反映されてしまうという。

共同経営を決断した5社の運営も決して”安泰”ではない。同県によるといずれも赤字運営となっており、合わせて94億円になる運営経費のうち、29億円が県や各市町村からの補助金で賄われているという。赤字経営の民間企業に公金が投入されるのは、バスが住人の生活を支える”足”であるからこそ。ただ、各社を個別にフォローするにも限界が訪れると考えれば、この共同経営への移行による”スリム化”が実現し、維持索や利便性の向上に期待が持てると考えられる。なお、本来であれば共同経営は独占禁止法の「不当な取引制限」いわゆるカルテルに抵触するおそれがあるとして禁止されるべき事案であるが、今回のように地域の生活に密接する社会問題であり、公的な財政支援も絡むことから、特例法案として認可されるという。4月には準備室が設置され、法案成立後から共同経営に移行していく。

今後は中心部で重複する路線の便を調整することにより、経営の効率化を進めていく。それによって空いた車両や運転手を活用して郊外や過疎地への路線網を守り、バランスのとれた運営を目指していくことになる。準備室では共通定期券の発行や、乗り継ぎの割引、均一料金の導入、さらには利用者が少ない路線での乗り合いタクシー導入促進など、様々な議論を進める予定があるという。

新たな取り組みを見せる「熊本モデル」として、全国の自治体から問合せも複数あるというが、今回は、地方都市の中心部で十分な収益がある路線を所有するからこそ着手できるケースであることも事実。調整によるスリム化が可能であったから実現できるこのモデルが、どこまで他の地域で通用するかは、また別の話となりそうだ。



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