FT-86Ⅱコンセプト 2010/7/11
ハチロクのコンセプトを継承する本格FRスポーツ
2009年秋の東京モーターショーで姿を現したトヨタのFT-86コンセプト。
ショーモデルとはいえ、かつてチューニングシーンを席巻し、いまも根強い人気を誇るハチロク(AE86カローラレビン/スプリンタートレノ)の名を冠したマシンの登場とあって、おのずと会場内の熱気はヒートアップ。
日本を代表するクーペモデルが次々と姿を消すなか、久々に登場した本格的なFRスポーツであり、手頃なサイズと価格での市販化が期待できるだけに、ファンと自動車業界各社の期待は一気に高まったのだ。
進化型FT-86Ⅱコンセプトのほか、スバル版も登場
その後の2010年1月の東京オートサロンでカスタマイズバージョンが出展されたこともあり、スペックの詳細については当初から様々な憶測や噂が流れていた。
ところが2011年3月のジュネーブモーターショーでは、より市販を強く意識したFT-86Ⅱコンセプトへと進化。
相変わらず、公表される情報は限られているが、その全貌も少しずつ明らかになってきた。
そのヒントとなるが、このジュネーブモーターショーでスバルブースにテクニカルコンセプトカーとして展示されていたBOXER Sports Car Architecture(ボクサースポーツカーアーキテクチャ)の存在。
ちなみにFT-86Ⅱコンセプトは提携関係にあるスバルと共同で開発が進められていて、スバルの代名詞である水平対向のボクサーエンジンを搭載し、スバルブランドでもこのエンジンを搭載するFRスポーツクーペを販売することが決まっている。
そのため、このボクサースポーツカーアーキテクチャがスバル版FRスポーツを想像するヒントとなり、ひいてはFT-86Ⅱコンセプトのメカニズムを解き明かす指標となるのだ。
噂のスバル版4WDモデルは存在しない!?
スケルトンボディで出展されたボクサースポーツカーアーキテクチャで印象的だったのは、水平対向エンジンのメリットを最大限に活かして可能なかぎり引き下げ、低重心化が図られたエンジン搭載位置だ。
さらに重量物をできるだけ車体の中央に集約させ、回頭性を高めるため、インプレッサやレガシィといった4WD車に比べると、エンジン搭載位置は極端にバルクヘッドに近づいている。
これによってノーズが美しくスラントしたスタイリングを手に入れているが、同時にこれは「噂されていた4WDモデルの設定は難しいのでは?」という結論にも結びつく。
現状のFRを4WD化するにはエンジンとミッションの間にデフを追加する必要があり、そうするとエンジン搭載位置をかなり前方にオフセットせざるを得なくなってしまうからだ。
搭載エンジンはFB20型水平対向2.0L 4気筒?
さらにこのボクサースポーツカーアーキテクチャからは、エンジンのプロフィールも推測できる。
スバルの水平対向としてはEJ20が浸透しているが、「現行フォレスターに搭載されているFB20では?」というのが業界関係者の共通した意見。
ただし、2.0L 4気筒エンジンながら現状は148psしかないため、FT-86の市販化に合わせてチューニングが加えられることが予想されるが、4WD以上に熱望する声が多かったターボモデルはどうやら見送られそうな気配。
将来、追加グレードとして設定されることを期待したいところだ。
Ⅱへの進化で攻撃的なルックスに磨きがかかった
スリーサイズは全長4160mm×全幅1760mm×全高1260mmだったFT-86コンセプトからFT-86Ⅱコンセプトでは全長4235mm×全幅1795mm×全高1270mmへと拡大。
それに伴ってフェンダーラインのメリハリやフロントの張り出しが増え、シャープさとグラマラスさがより強調されている。
また、フロントにはLEDデイライト、リアには本格的なディフューザー形状が採用されたこともあり、精悍な印象も強まっている。
お披露目は12月、販売開始は2012年春が濃厚
市販化に向けた気になる今後のスケジュールは、走行テストや細部の煮詰めを精力的に実施し、12月の東京モーターショーで市販モデルを披露。
その後、最終調整を行い、2012年の春には発売される見込み。
価格は少しでも抑えて欲しいところだが、「250万円前後あたりで落ち着くのでは?」と予想されている。
FT-86Ⅱコンセプト 主要スペック
全長×全幅×全高 4235×1795×1270mm
ホイールベース 2570mm
エンジン 水平対向4気筒2.0L (FB20型NA?)
トランスミッション 6速MT
駆動方式 FR
車両重量 非公表
出力&トルク 非公表